親族内承継のメリット・デメリット
親族内承継は、日本の多くの中小企業で行われてきた承継方法ですが、そのメリットやデメリットについてはあまり把握されていません。
本記事では、親族内承継におけるメリットとデメリットを解説していきます。
親族内承継とは
親族内承継とは、中小企業の事業承継において、現経営者の親族の中から後継者を選び、事業を引き継ぐ手段を指します。
親族内承継は、日本の多くの中小企業で伝統的に行われてきた承継方法であり、後継者候補を早期に決定し、経営教育を施すことなどが可能です。
親族内承継のメリット
親族内承継を選択することで主に2つのメリットを享受することができます。
以下でそれぞれ確認していきましょう。
メリット①相続や贈与の制度を利用しやすい
親族内承継の場合、株式や事業用資産の承継に際して、相続税や贈与税の優遇制度を利用しやすいというメリットがあります。
たとえば、事業承継税制は、親族内承継を主な対象として設計されています。
また、暦年贈与や相続時精算課税制度といった生前贈与の非課税枠も活用しやすく、計画的に事業用資産を後継者に移転することで、多額の税負担を軽減できる可能性があります。
メリット②周囲の理解を得やすい
親族内承継は、古くから日本の企業で一般的であったため、従業員や取引先、金融機関といった企業を取り巻く関係者からの理解と協力を比較的容易に得ることができます。
特に、長年の取引がある金融機関は、親族への承継であれば「家族一丸となって事業を継続する」という姿勢を評価しやすく、融資や取引の継続に前向きになる傾向があります。
親族内承継のデメリット
親族内承継には一定のデメリットも存在しています。
これらのデメリットを把握し、事前に対策を講じることが重要です。
デメリット①親族間でトラブルになることがある
親族内承継では、後継者に選ばれなかった親族から、遺留分侵害額請求をされたり、後継者の資質や経営能力について異論が出たりするなど、親族間で感情的なトラブルが発生するリスクがあります。
また、株式の評価額や遺産分割の公平性をめぐって対立が生じ、事業承継自体が停滞する可能性があります。
デメリット②個人保障に関する問題が発生する
中小企業の経営においては、現経営者が会社の借入金に対して個人保証を行っているケースがほとんどです。
親族内承継の場合、この個人保証を後継者が引き継ぐことになりますが、後継者にとって大きな負担となることがあります。
金融機関との交渉や、国による事業承継時の保証解除支援といった制度を利用し、個人保証の解除に向けた対策を講じる必要があります。
まとめ
親族内承継は、相続や贈与の優遇制度を利用しやすく、周囲の理解を得やすいという大きなメリットがあります。
一方で、親族間での遺産分割トラブルや、後継者が個人保証の負担を負うといったデメリットもあります。
親族内承継を検討する際は、自身の会社や親族の状況を十分に加味する必要があります。
事業承継をご検討の際は、ぜひ1度、専門の税理士までご相談ください。